貨幣経済を考える

 今日は連休の中日。不肖・ロズ子○○才は、青池保子のコミック『アルカサル 王城』の最終巻を読んで過ごした。
 24年前に連載が始まり、13年中断していたというこの物語、私はずっと単行本を買って読んでいた(←だって、『エロイカより愛をこめて』の作者の作品だから)が、作者がもっとも力を入れているらしいこの作品よりも、『エロイカ』のほうが断然好きだと思っていた。前に読んだ内容もほとんど忘れ去っていたが、でも、この最終巻は大変によかったねえ(しみじみ)。あちこちのページで泣いてしまった私である。
 石的話題としては、主人公のドン・ペドロがイギリス黒太子にバラス・ルビー(スピネル)を贈るというエピソードがあった。イギリスの王冠についてるあのでかいルビー(スピネル)は、アブー・サイド→ドン・ペドロ→イギリス黒太子というルートを経て、現在に至っているのか…(感慨)。
 作者渾身の作である『アルカサル 王城』最終巻があまりにもよかったので、『エロイカぬりえ』も買ってやってみようかな、とちょっと思った私である。
 『世界のマンダラ塗り絵』もやってないのに、『エロイカぬりえ』をやるんでしょうかね、私よ??!!!(さあ。でも、『マンダラ塗り絵』より『エロイカ』のほうが楽しいかも【想像】。)
 さて、そんな今日の私は、夜は「NHKスペシャル」を見た。
 青海鉄道が開通し、チベットに観光客(←注:主に日本人と欧米人)が流れ込むようになって、そこにビジネスチャンスを見出した中国人がホテルを建てまくり、チベット農村部から民具やら仏像やらを買いあさって展示したり(仕入れの10倍の値段で)売ったりしている。「もうけ主義とはこういうこと」ということをものすごくあからさまに映し出している番組であった。
 すごかったのは、定期的にしてもらっている法要を、客から金をとってナイトショーのようにして稼ごうという計画である(爆発)。…一人あたり3万円(!)の料金を取って見世物にしようという計画であるらしく、一緒に見ていた家人は、「おまえなんかほいほい出しそうだ。」と言った。
 私は、「そうね…。あんたなら、こっそり覗き見するだろうね。」と言った。われわれは、だいたいそういう行動パターンの家族なのである(自爆)。
 私はこの番組を見て、石の流通についても考え、ちょっと心を痛めた。
 村人が先祖代々、大切に祭壇に安置して後世を願ってきた仏像を、バイヤー(←この場合は、ホテルの社長。)が買い叩き、100万円とか180万円とかの値をつけて、観光客に売る。社長に売るのは若者で、その家のおばあさんは仏壇を掃除しながら「…仏様がなくなった…。何年もここにいらっしゃったのに。」と言う。若者が受け取ったお金は10万円。数体の仏像の代価である。 
 思うに、石にもきっとこういうことが起こっているに違いない。フェア・トレードなんて、あるわけないやな(←注:想像。)。鉱山から掘り、買い叩き、仲介業者が思い切り利益を得、そこからさらに転がって転がって、私の手元に来ているというわけね(さらに想像)。
 こりゃ、なんだか石を買うのをやめるほうがいいのではないか(←そんなこと、もちろんたぶんできないが)。そんなことを私に思わせる番組であった。
 「もおう、チベットなんか、一生行かん!!!!!」(←注:もちろん、今までも1回も行ったことなし。)と叫ぶ私に、家人は言った。「そうかーーーーー??????俺はこの番組を見て、行ってみたくなったぞ。」と。
 「何しに行くのさ???!!ホテルの社長の顔を見にか!!!!!」ときいきい叫ぶ私に、家人はさらに言った。「そうそう。だって、あんな典型的な拝金主義の人、見たことないもん。見てみたいもん。」と。
 そう、この社長は、オールバックにグラサン、ピンクのシャツとかストライプのシャツとか、そもそも面構えからして、あまりにもわかりやすく典型的な「お金至上主義」の人だったのである。
 ううむ。こんなにも典型的な人がいたなんて(←その点に感心【しみじみ。】。)
 チベットのみなさーーーーーーん!!!!!!!!!
 騙されんなよおおおおおおおおお〜〜〜〜〜っ!!!!!!!!!
 住職も札束積まれて、ホテルでの法要をOKしていたのであった。
 お金で石を買っている、不肖・ロズ子○○才。
 しかし、貨幣経済って、やはり人間が発明したもののなかでは、一番罪深いものなのかも【しみじみ】。